ウィスキーをより楽しく飲みたいと思い「自分でブレンドや熟成をしよう!」と思った人はいませんか。ウィスキー好きの着地点は自作です。しかしオンリーワンのウィスキーを手に入れる方法なので、最初はいろいろと悩みます。
ただ難しいのは最初だけです。続けるうちに自分で行うブレンドや熟成の楽しさが趣味に変わります。ハマると「もっといろいろと試したい!」と思うことでしょう。ただし注意も必要です。新たに酒類を製造したものとみなされれば、例外を除き違法行為にあたります。自分でブレンドしたウィスキーを楽しむためにはある程度の知識が必要です。
そこで今回は「ウィスキーを自分でブレンド可能?」自分で熟成させ作る方法を解説します。ウィスキーのブレンドや熟成に興味のある人は参考にしてください。
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目次
ウィスキーを自分でブレンドするのは可能
ウィスキーを自分でブレンドすることは可能です。ただし酒税法には注意をしましょう。知らぬ間に法を犯していたら面倒です。ウィスキーを自分でブレンドする場合は、次の点に注意をしてください。
ココに注意
- 自分でブレンドしたウィスキーは「自分もしくは同居家族」のみで消費する
- アルコール20度以上で酒税が課税済みのウィスキーであること
- 次のものを混和しないこと「米」「麦」「あわ」「とうもろこし」「こうりゃん」「きび」「ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ」「ぶどう(やまぶどうを含む)」「アミノ酸若しくはその塩類」「ビタミン類」「核酸分解物若しくはその塩類」「有機酸若しくはその塩類」「無機塩類」「色素」「香料又は酒類のかす」
自分でブレンドしたウィスキーを販売してはいけません。無償譲渡ならばOKといった見解がありますが、販売は絶対にNGです。自分でブレンドしたウィスキーを売る場合は、税務署への申請が必要になることを知っておきましょう。
酒類に手を加えると酒税法違反になることもあります。ウィスキーのブレンドは「酒類に酒類を混和する」行為です。ルールをまもらないと「みなし製造」とみなされ、新たに酒類を製造したことになるかもしれません。正規に購入をしたウィスキーは課税済みです。課税済みの複数のウィスキーをブレンドし、自分や家族だけで楽しむのならば問題はありません。作り置きはせず、その時楽しむだけのウィスキーを自分でブレンドするのは可能です。
ウィスキーを自分でブレンドする前におさらいしておきた知識
ウィスキーを自分でブレンドや熟成させる前に、知っておきたい知識に触れておきましょう。
ウィスキーとは?
ウィスキーは、大麦麦芽やとうもろこしなどの穀類を仕込み・発酵の後に蒸留し、木製の樽で熟成させた蒸留酒のお酒のことを言います。焼酎と同じ蒸留酒ですが、ウィスキーのポイントは樽の中で熟成させる期間があることです。樽での熟成期間が、ウィスキーのコクを深めます。
ウィスキーの原料別種類
ウィスキーは、製造するときの原料で以下の3種類に分類されます。
- モルトウィスキー
- グレーンウィスキー
- ブレンデッドウィスキー
「モルトウィスキー」のモルトは、麦芽した麦(通常は大麦)のことです。モルトウィスキーは、大麦麦芽のみを原料としたウィスキーに利用されます。単式蒸留器で2回蒸留されたモルトウィスキーは、香りが豊かで個性的な味わいが特徴です。「グレーンウィスキー」のgrain(グレーン)は、英単語で穀物を意味します。とうもろこしなどの穀類を、連続式蒸留器で蒸留したウィスキーです。軽快で、すっきりとした味わいをしています。
「ブレンデッドウィスキー」は、モルトウィスキーとグレーンウィスキーをブレンドして作ったウィスキーです。市場に出回っている9割のウィスキーはブレンデッドウィスキーなので、一番身近なウィスキーと言えます。
市販されているブレンデッドウィスキーは、樽貯蔵したあとのグレーンウィスキーとモルトウィスキーをブレンドします。その際に「ブレンド用アルコール」「スピリッツ」「カラメル等」を混ぜ、加水調整後にろ過をして作られるのが一般的です。
ウィスキーを自分でブレンドすれば、ブレンデッドウィスキーを作れます。モルトウィスキーとグレーンウィスキーのうま味を一緒に楽しめる飲み方です。
ウィスキーのブレンドの種類
市販されているウィスキーは、ブレンドしてから販売するのが一般的です。ブレンドをしていない1つの樽から作られたウィスキーは「シングル(単一)カスク(樽)」と呼びます。シングルカスクになれる樽は、選び抜かれた上質のものだけです。ごくわずかしかボトリングされないことから希少価値が増します。
ウィスキーの質を安定させるためにも、ことなる熟成期間の樽でブレンドするのが通常です。ただし同じブレンドでも2種類の方法があります。
- ブレンディング
- ヴァッティング
ブレンディングとは、異なる液体を混ぜ合わせる時に使う言葉です。ウィスキーのブレンディングは異なるウィスキーをブレンドさせること、つまりブレンデッドウィスキーのことを指します。
ヴァッティングはモルトウィスキー用語です。1樽ごとに異なったモルトウィスキーを大きな樽(ヴァット)に入れ混ぜ合わせることをヴァッティングと呼びます。ヴァッティングにより作られたウィスキーは「ヴァッテッドモルトウィスキー」です。
ウィスキーを自分でブレンドする魅力
ウィスキーを自分でブレンドする魅力について紹介をします。
飲み飽きず楽しめる
自分でブレンドするウィスキーには、無限の可能性があります。組み合わせは幾重にもあるので、飽きることがありません。ブレンド内容を変更すれば、同じウィスキーでも別の味わいを楽しめます。
ココがポイント
- モルトウィスキーを変える
- グレーンウィスキーを変える
- ブレンド比率を変える
- 必要に応じてスパイスを加えてみる
上記を変えることで味が変わります。自分の嗜好に合わせてウィスキーを作れるのです。飲み飽きることはありません。いろいろと試して自分だけの最高のレシピを完成させましょう。しかし明日には最高のレシピを超えるブレンドが見つかるかもしれません。
1日に何杯もウィスキーを飲むと翌日に響きます。その日に飲んだウィスキーに対し、「明日はこっちを試してみよう」など、翌日の楽しみが増える飲み方も可能です。完成度は日々高まっていきます。
ビールでは同じ楽しみ方はできません。いくつものブレンドが試せるウィスキーだからこそ楽しめる飲み方です。
技とセンスの成長が楽しめる
ウィスキーのシングルは蒸留所次第で味が決まります。「主原料」「水」「気候」などで美味しさが決まるのです。日本酒も同じく、お酒の製造元次第で味が変わります。自分で行うブレンドは、技とセンスの成長が楽しめるウィスキーの飲み方です。
日を追うごとにブレンド比率の考え方が向上します。作って味わうことを日々繰り返すだけで、黄金比に出会える能力が高まるのです。「こうすればこう」といった言葉では伝えられない技とセンスが磨かれます。
ウィスキーを自分でブレンドしてブレンデッドウィスキーを作る方法
それではウィスキーを自分でブレンドする方法を紹介します。最初はブレンダーのレシピを真似してブレンデッドウィスキーを作るのがおすすめです。慣れてきたら自分のオリジナルブレンデッドウィスキーを作成しましょう。
グレーンウィスキーを選ぶ
最初に、ブレンデッドグレーンウィスキーを作ります。ブレンデッドウィスキーの基本はグレーンウィスキーなので、必ずしもブレンドをする必要はありません。
グレーンウィスキーは無機質な仕上がりが特徴です。風味が軽いことから「サイレントスピリッツ」と呼ばれることもあります。モルトウィスキーを引き立てるのがグレーンウィスキーの役割です。
モルトウィスキーだけでブレンドを行うと主張が強く個性がぶつかり、ウィスキーの良さが味わえません。ブレンデッドウィスキーがモルトウィスキーとグレーンウィスキーのブレンドで作られるのは、お互いの個性が生かせるからです。
グレーンウィスキーは単体で飲まれる機会が少ないですが、ブレンデッドウィスキーには欠かせません。最初はグレーンウィスキー同士をブレンドせずシングルで選びましょう。慣れてきたら2種類程度のグレーンウィスキーをブレンドすると面白いです。
モルトウィスキーを選ぶ
グレーンウィスキーが決まったら、アクセントとなるモルトウィスキーを選びます。モルトウィスキーはグレーンウィスキーとは対照的に「ラウドスピリッツ(主張する酒)」と呼ばれるウィスキーです。個性や香りが強く味が残ります。癖が強いことから、シングルモルトウィスキーを飲むならウィスキーに慣れた頃がおすすめです。最初からシングルモルトウィスキーを飲むと、ウィスキーが嫌いになるかもしれません。
ブレンデッドウィスキーにおけるモルトウィスキーは風味の変更が役割です。自分のイメージする味わいを、モルトウィスキーをブレンドすることで作りましょう。最初はフルーティな味わいにすることをおすすめします。
グレーンウィスキーとモルトウィスキーをブレンドする
グレーンウィスキーとモルトウィスキーが完成したら、2つをブレンドしてブレンデッドウィスキーを作ります。基本はグレーンウィスキー1に対しモルトウィスキー1の比率です。最初に思い通りのブレンドができるとは限りません。試行錯誤してブレンドを楽しみながらウィスキーを飲むのが自家製ブレンデッドウィスキーの醍醐味です。いろいろと試しながら最高のレシピを完成させましょう。
ウィスキーを自分で熟成させる方法と魅力
ウィスキーの楽しみ方は自分でブレンドさせる方法だけではありません。自分で熟成させてウィスキーを作る方法も人気がでてきました。「ブレンドするウィスキーを自分で熟成させたい!」と思った人は実践しましょう。
ウィスキーを自分で熟成させる方法と魅力について解説します。
ウィスキーを自分で熟成させる方法
先ほど紹介をしましたが、ウィスキーの熟成で必要になるのが「樽」です。最近はウィスキーを熟成させるための「ミニ樽」が手軽にネットで購入できます。ウィスキーの熟成に必要なのは「ミニ樽」と「アルコール度数の高いウィスキー」です。
- ミニ樽が届いたら水を入れて1日放置する
- 水をすてたら熱湯を入れ3分ほど放置して殺菌をする
- ミニ樽を乾燥させる
- ウィスキーを入れ最低でも2週間、できれば1年程度熟成させる
ミニ樽によってはアク抜きが必要な場合もあります。アク抜きが必要なミニ樽は「ホワイトリカー(焼酎甲類)」を入れて2カ月ほど放置をしましょう。上手にアク抜きができれば、完成したウィスキーの味わいが良くなります。
アルコール度数の高いウィスキーを選ぶ理由は、熟成させることでアルコールが飛ぶからです。度数の高いウィスキーを選ぶことで、熟成効果を楽しめます。ウィスキーをブレンドさせて熟成させるのもおすすめです。
ウィスキーを自分で熟成させる魅力
ウィスキーを自分で熟成させる魅力は次のとおりです。
熟成させる魅力
- ウィスキーの変化が楽しめる
- 特別なウィスキーが楽しめる
- オンリーワンのウィスキーがつくれる
熟成する期間によってウィスキーの味が変わります。小さい樽を利用した場合は、2週間程度の熟成でも十分楽しめるので、同日に作成した複数のミニ樽を期間別に飲み比べてみましょう。熟成度合いを楽しめるのはミニ樽ウィスキーの醍醐味です。
また、ウィスキー好きの夫婦ならば、結婚記念日に熟成を開始させるのはいかがでしょうか。毎年熟成したウィスキーを記念日に楽しめます。ミニ樽は何度も利用ができるので、お祝い後に翌年のウィスキーの熟成を開始させ記念日を盛り上げましょう。他にはないマイミニ樽で作るオンリーワンのウィスキーです。愛着がわくことは間違いありません。
まとめ
ウィスキーを自分でブレンド可能?自分で熟成させ作る方法を解説しました。自分だけのウィスキーを作る方法は「自家製ブレンドウィスキー」と「マイミニ樽熟成ウィスキー」の2種類です。
ブレンドはウィスキーの内容や比率を変えるだけで無限に楽しめます。自分で熟成させる方法は、ウィスキーの種類や期間で味わいが変わるのがポイントです。いろいろと試したい人は、複数のミニ樽を用意しましょう。ミニ樽には、インテリアとしての魅力もあります。ウィスキーは、いろいろな楽しみ方があるお酒です。仕事で疲れた夜の楽しみとして活用してみてはいかがでしょうか。趣味になれば毎日が楽しくなること間違いなしです。